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 プロフィール

  自宅玄関を出た妻は駆け出し、決して後ろを振り向くことなく私達の前から去って行きました。それは昭和60年春の出来事でした。当時私は27歳、妻は26歳でした。
 私達2人は生長の家が縁で結婚しました。結婚後も揃って青年会の活動をしていただけに、同じ価値観を持っているはずの私達が離婚?なぜ?理由は全く思い当たりませんでした。いくら尋ねても妻は「あなたとはもう一緒に生活できない、別れてください。」そう言うばかりでした。夫婦で何度も話し合いましたが、はっきりとした理由を彼女は最後まで語りませんでした。

  「離婚」とは生長の家で説く真理と違うのではないか、まだ幼い娘はどうしたら良いのか、私は苦しみもがきました。そのときに青年会の先輩から「お互いに幸せになるために離婚という選択肢もあるんだよ。」と言われ、すごく気持ちが楽になり、「あぁそうだ、どのような結果となっても良い。問題を神様に全託しよう、先ず彼女を自由にしてあげよう」と思いました。
  友人からお互いの責任をはっきりさせておいた方がよいとアドバイスを受け、家庭裁判所で調停を行いました。それからほどなく正式離婚となりました。彼女には母として子供と一緒に生活してほしいと願いましたが、4歳になる娘と借金を残し去っていきました。
 
  部屋を引き払い実家に帰り両親と一緒の生活が始まりました。子供は夜になると寂しさが募り、
「お父さん、マミ(真奈美)は良い子にしていたのにどうしてお母さんはマミを置いて出ていっちゃったの。ねーねーお母さんを捜してきてよ。」
とせがんできます。私はどうすることも出来ず、昼間は仕事に没頭し、夜は繁華街で酒浸りとの荒れた生活を送ってしまいました。
  離婚から2ヶ月たったある日、今の妻と再会しました。彼女は同じ小学校の4つ先輩でした。また私が高校生の時、彼女は近くの喫茶店でアルバイトをしていて、その笑顔に密かに憧れていたのです。懐かしい気持ちもあり、お互いに色々と話をして理解を深める中で、私達は結婚することになりました。そしてほどなく再婚し、私と妻と5歳になる娘、3人での生活がスタートしました。

 今度こそ楽しい家庭をと思い描いていましたが、現実は全然違っていました。妻が娘を叱ると
「前のお母さんはそんな叱り方はしなかったよ、もっと優しかったよ。」
と幼いながらも反発します。3人でテーブルを囲み夕食を取っていると、
妻から、「私と真奈美とどっちが大事なの」。
娘からは「お母さんとマミとどっちが好き」
と両方から聞かれ「2人共好きだよ。」と答えるのですが、2人に不満そうな顔をされ困ったこともありました。
 娘の反発は意外と強く、私も妻も、また娘も肉体的・精神的に疲れ切ってしまいました。私は妻に「子供を変えようとしてもだめだよ、相手は変えられないんだよ、子供を変えるんじゃなくて自分が変わらなきゃ解決はしないんだよ。生長の家ではそう教えているんだよ。」と何度も何度も言っていました。

 ある日私は妻に反論されました。
「生長の家なんてクソ食らえよ。あなたを仕事と生長の家に取られ、その上こんなに頑張っている私が変わらなければ問題が解決しないなんて、そんなの絶対変よ」
そう言われた瞬間「はっ」と我に返りました。「そうだ反省しなければならないのは私の方だ。妻は私を通して生長の家の教えを見ている。妻でも娘でもなく私こそ変わらなきゃいけなかったんだ」そう思った次の瞬間、私は妻や子供にどんなにつらい思いをさせてしまったのだろうと思い、涙が止めどなく流れてきました。

 とにかく、明るく光明面を見て、お互いに相手の立場になって考え、もっと深く理解し合うことが大切だと考え、それからは妻の話しを徹底して聞くようにしました。ですからどんなに夜遅くなって帰っても、妻が話をしたいと言うことがあれば、朝まで話を聞きました。また茶碗を洗ったり、布団を片づけたり家事の面でも自分自身で出来る限り妻に協力しました。
 
 私は妻に対して、連れ子である娘を本当の子供として育てて貰いたいという思いがありました。しかし妻は実際に一日の殆どの時間を娘と2人で過ごす中で、私が思う以上に娘との関係を真剣に悩んでいたのです。もちろん娘も心から母親を求めていました。ところがそれまでの私は「自分の思い」に固執し、妻や娘の気持ちを理解していませんでした。それどころか私自身が心の奥底から妻と娘を本当の親子として見ていなかったのです。変えなければいけなかったのは、その私の心なのでした。
  
  私が妻と娘は本当の親子だと思えるようになって暫くしたある日、妻と娘は本当の親子らしい気持ちの通い合う生活ができるようになっていました。
  
                             (平成17年5月27日記)
                               

 
++解説++

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