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近況:

●解説>>

 次男は、人から頼りにされることがどんなにうれしく楽しいことなのかを肌身で感じ取ったようで、自らの力に目覚めることが出来たのです。そして、野球の練習の疲れも吹っ飛び、今から「夏の練成会、練習が休みの日と何とか合わないかなあ」と待ち遠しいようです。

 精神科医の佐々木正美氏は、ある講演の中で、「最近の幼稚園児はママゴト遊びが出来なくなってしまった」という話をしておられました。「お母さん役を引き受けてくれる子供がいなくなった」というのです。かつては花形だったお母さん役も、今では無理矢理頼んでなってもらうのだという。さらに、お母さん役になった子供は、遊んでいる間中、指示や命令ばかりを出す悪役を演じるのだといいます。一方、お父さん役はというと、父親の存在感が家庭ではとっくに消えてなくなってしまったのか、子供はそもそもお父さん役の演じ方が分からないとのこと。そして、一番人気の役はみんなから可愛がられるペットの役だそうです。

 子供にとっては、私たち父親は家庭において存在の中に入っていないのでしょうか。何と淋しいことでしょうか。「いや、そんなはずはない。こんなにも家族のために夜遅くまで頑張って働いているではないか。時には遊びに連れて行ってあげているではないか。妻や子供は父親をありがたいと感謝しているに決まっている」と私も思っていました。しかし、人間は自分勝手かも知れませんが、「自分がして欲しい時にしてもらえると、有難く感じるが、して欲しいと思っていない時にいくらしてもらっても、あまり有難く感じない」ものなのではないでしょうか。だから「して欲しい時にちょっと無理してでもしてあげる」という努力が必要なのです。

 次男が小学生の時、土日に父兄がコーチ等をして、野球チームを作っておりました。しかし、私は特に土日は、行事等で仕事が忙しく、手伝いに行くことができませんでした。次男は、私が土日は仕事で忙しいと分かっていても、「チームメートのお父さんは手伝いに来てくれるのに、僕のお父さんは来てくれない」と淋しく思っていたようです。そこで、何とか仕事をやりくりして、月一回位、土曜日か日曜日に手伝いに行くようにしました。次男は非常に喜んでいました。

 このようなことが半年位続いた時に、次男が「お父さん、仕事で忙しいんでしょう。無理に休みを取って来てくれなくてもいいよ」と言ってくれたのです。おそらく、「自分のために無理をしてくれている、自分を愛してくれている」と感じ、満足したのではないでしょうか。私は、それからも手伝える時には、次男の野球の練習に付いて行くようにしましたが、次男は私が来ても来なくても、楽しく野球をやっているようでした。

 家庭生活の中で、妻や子供が「ここは何とか手伝って欲しい」という時が必ず何回かあるものです。そのような時に、「ちょっと無理をするか、無視するか」が、家庭における人間関係に重大な結果として現れてきます。

 対人関係や恋愛における人間の行動を分析した著書も多い、岩月謙司氏は「夫からの深い愛があると、妻の自我は安定する。だから、やはり家族における愛の起点は、男性である夫であって、夫から妻に愛が注がれ、さらに子どもにも流れていくんです。そして夫から愛された妻は、今度は夫の味方となって、夫を支えるようになるんですね」と書いておられます。

 子供が幸せに育っていくためには、母親から愛情をたっぷり注がれることが必要です。社会的なルールを守らない若者は、「小さい時に愛情を十分与えてもらえなかったからだ」と言われています。母親の気持ちが安定し、愛情一杯で子供を育てていくためには、どうしても夫からの妻への深い愛が欠かせないのだそうです。父親である私たちは、もっともっと妻を信頼し労をねぎらい、家族に対し愛情一杯、感謝一杯の言葉をかけながら、和顔・愛語・讃嘆の生活を心掛けて行きたいものです。

(平成20年5月26日記)
 

                                                      

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