
株式会社日本成功学会代表取締役 黒木 安馬

皆さんこんにちは(拍手)。ありがとうございます。
只今、私が1300坪の山を買い、プールやテニスコート、コンサートホール付きの家を造ったビデオを観ていただいたのは何故かと申しますと、人生は1回限りですし、初めから玄人だった人はいない。皆素人です。それなら思い切ってやってみようと、挑戦して造ったわけで、やれば出来るわけなのです。しかも後で解ったのですが、私が20代のはじめ頃に家族に示した設計図どおりのものだったのです(拍手)。
皆さんのこれまでの人生を振り返って、「やれなかった事」と、「やらなかった事」と、どちらが多かったですか? 本当はやらなかったくせにやれなかったというのが多いですか? そういう人に限って、先輩や上司になりますと、後輩や部下に向かって「何故やれないのか」の説明が上手くなる(笑)。
因みにうちのプールは、NHKから「日本中を探したけれども、田舎で、庭にテニスコートやプールのある家はお宅しかないので」と、妙な誉め方をされまして(笑)、「ハゲタカ」というドラマに使用され、撮影に協力したことがあるのです。
私は日本航空の国際線で、30年間空を飛んで来ました。時間にすると2万時間、地球を約700周したことになります。
私の仕事は、スチュワーデスの皆さんの能力を出来る限り引き出しながら、世界最高と謳われた日本航空のサービスの神話を取り戻すことにありました。機内には、外国人のスチュワーデスもおりますので、彼女達の日本語や漢字の教育も、私の仕事でした。
日本人の特長は、そのファジィな文化にあります。例えば、「5、6個、急いで持って来てくれ」と頼みますと、日本人のスチュワーデスは、自分で適当に見繕って持って来てくれますが、外国人は直ぐには動きません。必ず「5or6?」と訊き返します。日本人にとって「美徳」とされることも、外国人からみたら、はっきり言わないことは「卑怯」と見なされます。180度の違いです。その様な中で仕事をして来ました。
ある時、ロンドンからニューヨークまで大西洋を横断していますと、眼下にタイタニック号が沈没した地点が見えました。機内では、タイタニック号の映画が上映されて、乗客の皆さんは楽しんで観ておられましたが、その時私は、何故タイタニック号が沈んだのだろうと、ふと思いました。
それで日本へ帰って色々調べてみますと、その時代になかったものが1つありました。それはレーダーです。ホテルのように豪華で巨大な、速いスピードで航海するタイタニック号は、レーダーがなかったために氷山を発見するのが遅れて処女航海で沈んでしまった。
ではレーダーの原理を創ったのは誰かというと、八木さんと宇田さんという日本人なのです。八木アンテナですね。こういうことを学校では教えない。日本の教育はどうなっているのだろうと思います。
今日は、私が30年間のフライトの中で出会った、世界の成功者のマンウォッチを通して、皆さんの人生の良きレーダーとなるようなヒントをお話したいと思います。
タイタニック号と違い、飛行機は、どんな嵐の日でも、離陸して5分も経てば、雲の上に出ます。すると365日快晴です。人間関係などでくよくよ悩んでいた自分がちっぽけに思えて来ます。それを30年間続けて来た時に、もうパッと思ったんです。
飛行機と同じで人生もバックは出来ません。過去と他人は変えられないが、自分と自分の未来は変えられると言います。しかし、何をどう変えるのかが解らなければ、変えようがないのです。
今の自分と握手出来る方、手を挙げてください。少ないですね。では今は出来なくても、自分に何が足りないのか、どうすれば出来るのか、言えますか? もしこれが言えないのであれば、握手出来る日は永遠に来ないということです。
飛行機も行く先を決めて飛行しています。それと同じで人生も、自分は死ぬまでにこれだけはやっておきたいということを一言で言えますか、ということなのです。
ある小学校で成績が6年間トップだった女の子のお母さんに話を聞いたことがあります。その女の子は塾にも行かず、参考書も見ない。宿題しかやらないけれども、6年間成績はトップだった。それは何故かと言うと、入学する時に母親が、「お母さんは勉強しないで、大人になって苦労したから、あなたは学校で勉強して来たことを毎日お母さんに教えて。一緒に勉強したいから」と言った。それで女の子は、母親に教えるつもりで先生の話を真剣に聞いていたから、全部頭に残ったわけです。色々と話を聴いてインプットしたら、それを人にアウトプットしなければ残りません。私の話も、忘れないために、誰かにアウトプットしてください。
国際線の飛行機の座席は、僅か12席のファーストクラスと、ビジネスクラス、そしてエコノミークラスの3つに分かれています。例えばヨーロッパまで旅行しますと、7泊8日で大体20万から30万します。これがエコノミーの激安運賃だと、ホテル代まで含めて何と4万6千円ほどで行ける。ところが、ファーストクラスですと、往復乗るだけでお1人136万円です。ファーストクラスに乗られる方の特徴は、自分のお金で乗られる方は希だということ。即ち、新聞やテレビのニュースに出て来るような、世界的なVIPの方々ということです。
私の仕事は、この方達のお相手をすることでもありましたので、12時間ほどを、あちらはお金を払い、こちらは給料を貰いながら、何のアポもなしに、1対1で話が出来るわけで、まさに役得でした。
その中に、「君、牛を見たことあるかね?」と訊かれたのが、本田宗一郎さんでした。「ございます」と答えますと、「では牛の角と耳は、どちらが先かね?」と訊かれて、直ぐには答えられず、降りる間際に正解を訊きましたら、「観れば解る」と答えられた(笑)。即ち、こちらの「観る」です。
私達は日頃、見ているだけで心に留めていない事が圧倒的に多い。しかし、そのつもりで観なければ、何事も本当に観たことにはならないということを教えられました。
私の30年間の機内での人物観察の結果、世界の成功者といわれる人たちの共通点は、絞り込んで行くと、次の3つだという事が解りました。
その1は、決して「しかし」と言わないことです。もし皆さんが、相手の言うことに対して、必ず「しかし」を付けて返してごらんなさい。3日間で、友人は1人もいなくなります(笑)。「しかし」という言葉は、相手を遮る言葉です。スポーツでいえば、攻撃のみのドッヂボールですね。では何と言うかと言えば、「しかし」ではなく、「なるほど」なのです。
ある時、松下幸之助さんにワインの質問を受けたことがあります。私の説明に対して、「なるほど」とのみ言われて頷かれました。そして答えをすぐにメモされました。「なるほど」という言葉は、相手を受け入れる言葉です。繋がりを作ります。スポーツで言えば、キャッチボールです。相手を思いやる心配りがある。
その2は、「だから」ではなくて、「だからこそ」なのです。普通は、「だから、しょうがない」と言いますが、彼らは、「だからこそ出来る」なのです。その精神でどんな逆境も乗り越えて来た、ピンチをチャンスに変えて来た人達です。
その3は、「直ぐにメモを取る。書く」という事です。松下幸之助さんがメモしておられた時に、かいま見えたのですが、「書く」ではなく、「描く」、即ち、スケッチしておられました。これにはびっくりしました。先程申し上げた、「観る」ということ、アウトプットを意識して描くということだと思います。
その後、松下電器本社での講演を依頼されて社長室に伺ったところ、「知っていると言わないこと」と書いてありました。
どういうことか訊きましたら、「琵琶湖はなぜ満々と水を湛えているか解りますか?」と聞かれました。「それは、他の土地より低いからでしょうね」と答えると、それと全く同じで、例えば社員が「こんな情報があるのをご存知ですか?」と社長や上司に言った時に、「知っているよ」と言ってしまうと、「それはそうだよな」と、2度と言わなくなる恐れがある。
企業では誤った情報で誤った選択をしそうな時に、いつでも方向転換が出来るように、日頃から社長や上司に誰もが情報を言えるように、門戸を開いておかなければならない。だからその為には、例え100を知っていたとしても、1しか知らない振りをすること。それが出来ないと、企業は伸びていかないし、場合によっては経営が怪しくなることさえあるという訳です。
例えば、新入社員がアイディアや情報を言った時に、「俺の若い頃もそうだったけど」と、得々として、良かれと思って否定する人がいる。すると新入社員はもう何も言わなくなる。
人の心には、「認められたい」「誉められたい」「お役に立ちたい」という3匹のタイが棲んでいます。これを満たしてあげることが、経営上、大切なことです。そのためには、「しかし」ではなく、「なるほど」と受け止め、例え知っていても知らない振りをして話を聴く度量が経営者には必要です。そうでないと、知ったかぶりをして相手の話しを否定してしまうと、3つのタイは1つも満たされず、相手は口をつぐんでしまうでしょう。
私は現在、日本航空の子会社の社長を務めております。スタッフは27名ですが、いずれも錚々たる経歴の持ち主で、元日本航空の海外支店長だとか、日航ホテルの社長などです。その人達を再活用して、リッツカールトンホテルや住友やニッセイの本社、加賀屋さんなどの人材教育をしています。
これからの時代は、その人の人格以上のものは売れません。お客様が「この人からは買いたくない」と思えば、どんな立派な品物を置いていても売ることは出来ません。
顧客は、携帯電話を買うのではなくて、コミュニケーションを求めて来ている。化粧品を買うのではなくて、美を求めて来ているのです。解説ではなく、納得を求めている。それは社員も同じです。
それが解れば、「しかし」ではなく「なるほど」と言わなければならないし、顧客への心配りが必要です。気配りは顧客満足に繋がります。顧客満足が達成出来ないと、顧客のリピート率が悪くなり、リピート率が74パーセントを切ると、その店の経営は厳しくなります。しかしリピート率を上げるためには、顧客満足だけでは駄目なんです。「顧客感動」でなければならない。頭を深々と下げて「ありがとうございます」とやっても駄目です。
どういうことかと言えば、お客様に、「この人は私のためにここまでやってくれる」という感動を与えること。即ち、そのお客様の色々な情報を知って、雨が降りそうなら傘の用意、道が解らなければお教えするという「心配り」ですね。「気配り」ではない。親が子供を心配するような気持ちに繋がるものです。それをわざとらしくやるのではなく、さり気なく、自分が人にして欲しくないことはしない、して欲しいと思うことをするということです。
イエローハット本社で講演をした時にブリヂストンの社長が「チェンジをチャンスにするためには、GをCに変えればいいのだが、それにはGの中のTを取れば良い。このTは何かと言うと、タブーを意味している」と言われた。
即ち、チェンジには、企業に、よそ者と、若者と、馬鹿者を入れなければならないと。馬鹿者というのは、目標を定めたら、周りの毀誉褒貶など気にせずにまっしぐらに邁進する人のことです。つまり斬新なアイディアと実行力が必要であるということです。
先程の成功者たちの共通点をもう1つ申し上げますと、
自分の夢や希望を紙に書く。
それを手帳などに書いて、いつも持ち歩く。
ということです。これをやる方は非常に少ない。しかし成功者はこの中にしかいないのです。
さらに、次のことを実行してください。それは、
それだけです。是非実行してみてください。これに優る成功法はないと、断言出来ます。もしこのうちの1つしか実行出来なくとも、それで充分なんです。何故ならその中で一番大事なことは既に実行出来ているわけですから。子供でも出来る簡単なことでしょう? 「知識の差は小なり、行動の差は大なり」です。一歩を踏み出さないと、人生は始まりません。我々は地球の自転、時速1670キロというとてつもないスピードで人生を通過しています。何かを為さねば勿体無いのです。ありがとうございました(拍手)。