
生長の家参議 東京第一教区教化部長 三好 雅則

皆様ようこそいらっしゃいました。ありがとうございます。(拍手)
以前、栄える会中央部の事務局長を6年間務めさせていただきました。本日は懐かしいお顔が沢山お見えになっていて、嬉しく思います。
先ほどこちらへ来る時に、地下鉄のいつもと違う出口から地上へ出ましたら、方角が判らなくなって慌てました。何事もそうですが、自分がどちらを向いているかということが解らずに闇雲に進みますと、大変なことに出くわしてしまうということになります。
かつてミドリ十字という会社が、大量に輸入した血液製剤がエイズに感染していることを知りながら、在庫処分してしまったために、多くの被害者を出した末に破綻し、大きな社会問題となりました。
「儲けること」を最優先してしまった結果だと思うのです。
ですから、「繁栄とは何か」ということをはっきり知ることが大切です。
かつてバブルが崩壊した時も、色々な企業が倒産しましたが、それらの企業をつぶさに見て行きますと、どこも似たような特徴がありました。
それは、儲かっているものですから、本業を疎かにして不動産に手を出し、バブルの崩壊と共に土地も一気に暴落し、それがもとで倒産した企業が多く見受けられたということです。
そうした中でも、倒産の波に呑まれずに経営を続けている企業もございました。それらの企業は、やはり経営姿勢がしっかりしていたのです。
飛行機でも、離陸する時も着陸する時も、機首はきちんと上を向いております。経営姿勢が大切だということなのです。
本日は「繁栄は心から」という演題をいただきましたので、「繁栄」の意味を辞書で調べたら、「繁栄は栄えること」と書いてありました。では、栄えるとは何かと調べましたら、「勢いが盛んになる、繁栄すること」と書いてあるのです。大したことは書いてないのです。(笑)
また「富」を調べましたら、「富むこと」と書いてありました(笑)。それから「集積した財貨」と書いてあり、まあこれが一般的には富と考えられているものなのでしょう。
しかし、それでは「富は有限」ということになり、「富は有限であるから、財貨を出来るだけ蓄積すること」だと考えてしまうわけです。
これに対して生長の家では、「富は無限であり、人のためになる働きが富である」と説いています。
人のためになる働き、これは「愛」でありまして、愛を実践することが富につながる。しかし、闇雲に困っている人を助けてもそれでは富まないわけでありまして、そこにはやはり、「知恵」が必要になってまいります。そして、「働き」である以上は、「生命力」が加わって現実に行動化されなければなりません。
即ち、「富」とは、「知恵」と「愛」と「生命力」の結晶であり、目には見えない心的な存在であるということです。つまり富は心的な存在だから無限なのです。
話は変わりますが、ここで皆様に、最近の国民の生活意識調査を見ていただきたいと思います。
これは、縦軸が主観的な幸福感を表し、横軸が1人当りのGDP(国内総生産)を表しています。GDPが高いグループ、いわゆる先進国といわれる国々として、アメリカ、スイス、ノルウェーがあり、次いで、デンマーク、日本があります。しかし主観的幸福度を見ていただきますと、GDPが日本より低いカナダ、スウェーデン、旧西ドイツ、オーストリア、フランス、イギリス、フィンランド、シンガポールと比べると、日本は主観的幸福度が低いのが解ります。
それでは、先進国の中でも日本は、どういうことに幸福感を抱くのかということを調べて見ますと、面白いデータがあるのです。
これは「社会への貢献意識」を調べたデータですが、これを見ますと2005年以降、社会への貢献意識が、段々と高くなって来ていることが解ります。最近では団塊の世代の方々が退職していますが、その人達の意識調査においても、社会に貢献したいという方が、7割を占めております。
次の「社会に貢献したいという社会志向か、自分の中心の個人志向か」というデータでも、やはり「社会志向」が上向いて来ています。「個人志向」はグーッと下がって来ているのが最近の傾向のようです。
それから「国民全体の利益か個人の利益か」というデータを見ても、国民全体の利益をというのが上がって来て、個人の利益を求めようというのが下がって来ている。
これらのデータから、日本では、衣食住は充分に足りているので、これからは社会やより多くの人のためになる働きをしたいという、健全な考え方をもっている方々が増えていて、喜ばしい状況になりつつあるのです。
さて先ほど、富の本質は心にあって、心が富を生み出すわけですから、まず心に無限の富を築くことが重要になってくると申しましたが、では、どのようにして、心に無限の富を築けばよいのでしょうか。それにはまず、心の構造についてよく知っておく必要があります。
心には、現在意識と潜在意識があることはご存知だと思います。そして、現在意識は全体の僅か5%であり、残りの95%を潜在意識が占めている。
現在意識というのは、物事の価値判断を行う働きをするところであり、潜在意識は、価値判断は行いませんが、創造力を持っているといわれています。また、我々が眠っている間も心臓は動いている。このような生理作用を司っているのが、潜在意識です。
さらに潜在意識の奥には超在意識、あるいは神意識というものが横たわっている。これは人類共通でありまして、ユングの心理学では創造的無意識と表現しています。
ではその心と対応する脳はどうなっているかといいますと(次頁参照)、小脳の横にくっついて出っ張っているところが脳幹です。これは生理作用全般を司っています。その上を覆っているのが、大脳辺縁系で、その上を覆っているのが、大脳新皮質です。これは人類に特有の脳で、意志決定や価値判断をするのです。大脳辺縁系というのは、情動や意欲や記憶、自律神経活動に関与する複数の構造の総称です。
それから脳幹ですが、ここには網様体賦活系という機能があり、信念、あるいは情動記憶に従って情報を選択する機能があります。
先ほど申し上げた潜在意識の創造力の一端が、この網様体賦活系に関係しています。
我々が受け取る大量の情報をそのまま全部意識化して処理しようとすると、脳がパンクしてしまいます。そこで脳はある種のフィルターを機能させて、パンクを防ぐ。その働きをしているのが網様体賦活系です。
網様体賦活系には、現在意識が強く想念したこと、あるいは常に言葉で発すること、それに関連したことを、選択的に意識化する働きがあります。これをよく理解しないと、繁栄や成功を目指しながら、失敗してしまうということになります。
知人の体験ですが、下宿先を探していて、自分の欲する条件、つまり駅から2分以内で日当たりが良く、マンションの何階で、部屋の構造はこうと、全部手帳に書いたそうです。
生長の家では、自分が欲することを手帳に書いて、「既に実現せり」と祈るとよろしいと教えられているので、それを実践したわけです。すると希望した条件が全部揃った下宿が見つかりまして、本人は「もっと細かく書いておけばよかった」と言っていました。(笑)
つまり自分の願望、思いというものを書く、あるいは繰り返し唱える、あるいは視覚情報として脳内に入れておくことによって、潜在意識がそれを選び出し、願いが実現するというわけです。
面白いのは、「潜在意識は、現実とイメージとの区別をしない」という特徴があることです。例えば我々は梅干を心に描くだけで、唾液が出て来ます。この機能を上手に使うといいのです。
ですから今富んでいない、成功していない方は、自分の欲する成功のイメージを心に描き、想像すれば良いのです。強く描き続けるといいのです。
具体的には、繁栄や成功といった肯定的な側面、光明面を心に描き、それを言葉で表すことが、非常に重要になって来ます。
生長の家では、身口意(しん く い)の三業(さんごう)を・コトバ・といっております。身は体、つまり表情とか行動。口は発声音。意は想念です。これを合わせてコトバといい、心はこのコトバが構成しているというわけです。
マーシー・シャイモフの『「脳にいいこと」だけをやりなさい』という本によりますと、今日考えたことの95パーセントは、昨日も一昨日も考えていたことなのだそうです。誰が調べたか解りませんが、人が1日で考えることは、6万回ぐらいだそうです。その95パーセントは昨日も一昨日も考えていたことですので、人には傾向の心、思い癖があるのです。
これらのことに注意しないで生きている人は、大体マイナス思考をしているらしく、しかもそのマイナス思考は、放って置いても記憶しやすいのだそうです。そうするとそれが潜在意識に入りまして、その人を失敗に導くというわけでありますから、我々は心をコントロールしなければならないわけです。そのためにコトバの力を使うのです。
先ほど申し上げましたように、潜在意識は現実とイメージを区別しませんから、我々はそれを活用する必要があります。
生長の家では、・環境は心の影・と申します。・自分の心が変われば、世界が変わる・ということです。そして心には同類親和の法則、すなわち類は友を呼ぶという法則がありますから、繁栄を望む方はそういう雰囲気の店に行ったり、人に会ったりする。あるいは自分の心に繁栄を描いて、それと親しくなるといいわけです。
さらに、口癖が潜在意識に入るわけですから、明るい肯定的な言葉を発することが大切です。明るい表情、深切な行動、明るい想念と言葉、これらが揃った時に、やがて成功が訪れて来るわけです。
それから、「与えよ、さらば与えられん」、これが繁栄の黄金律です。先に与えなさいというわけですね。
卑近な例ですが、私が何度も通う蕎麦屋は、蕎麦が美味しいのですが、接客がとてもいい。客の側に立って対応してくれる。これが先に与えるということです。こういう店こそ繁栄するのです。逆に、不味い、汚い、遅いと三拍子揃っている店は、赤字で倒れてしまいます。
かつてテレビ東京で、「愛の貧乏脱出大作戦」という番組をやっていました。それは、もう潰れそうな飲食店の店主がテレビ局に応募してくる。そこでまず最初に、モニターがその店に行き、再訪したい人は白球、もう二度と来ない人は赤球を箱に入れる。すると大体、全部赤球になります(笑)。店主は厳しい現実を知った上で、一流の店で修行し直すのです。そして美味しいものをお客さんに提供する、あるいは接客サービスを学んで、自分の店を再開するという内容でした。
そのようにして店を再開しますと、どの店も初めの日はお客さんが一杯来る。しかし、半年程してみると、そのまま繁栄を続けている店もあれば、もう店がなくなっているところもある。これは学んだことを、持続して実行できなかったということです。
最初に申し上げましたが、富というのは人のためになる働きですから、人のためになれば富になって帰ってくる。
ところが、勘違いをして、富を得よう、どうやって儲けようかと、儲けるところに思いが行ってしまっているので、サービスが行き届いていない、だから躓いてしまうのです。
「お金がなくて、うまくいかなかった」という方もありますが、・深切・・笑顔・・感謝の言葉・・優しい言葉・・好い印象・、これらは全てお金がなくても出来るわけです。これすらやっていなかったという方が多いのです。奪うものは奪われます。サービスが先ということです。
そして瞑想、祈りが大切ですね。マーシー・シャイモフも、先ほど紹介した著書に「瞑想などで脳を“人智を超えた大いなる力”につなげる」ことの重要性を書いています。
生長の家では神想観と申しまして、毎日行なう瞑想がございます。
先ほど紹介した超在意識あるいは、神意識にある、自他一体、完全円満、無限供給、大調和である神様のお創りになられた世界、実相世界を心の眼(まなこ)で観る修行です。
この神想観の実修法については、谷口雅春先生著『詳説 神想観』や谷口清超先生著『神想観はすばらしい』に詳しく書かれていますので、お読みいただきたいと思いますし、全国各地で行われている栄える会支部の例会に参加して、学ばれることもよいと思います。
神想観を是非毎日実修していただいて、富想、富の想を出来るだけリアルに描きつつ、人間は本来、明るくて豊かであるということを心の底から自覚し、言葉も表情も明るくしていただきたいと思います。
それから、『日時計日記』をつけることもとても重要なことです。書くという行為は手の動きと連動していますので、単に口で唱えるよりも強烈なイメージを潜在意識に植えつけます。そうすると、いわゆる創造的無意識がよく働くということになります。
それで生長の家では、毎日の明るい出来事や希望のみを記録する『日時計日記』を書くことを勧めています。本日も販売していますので、お持ちでない方は買って帰られると良いと思います。
本日のテキスト『小閑雑感Part13』の225〜226頁に、「ふと思いつく」ことと題して、次のように書かれています。
(前略)「人間の運命は“ふと思いつくことを行動する”ことによって、おのずから結果が展開して行くのである。ある人は、良きアイディアを“ふと思いつく”ことによって、それを行動に移して大成功したが、ある人は“ふと思いつく”ことを実行したために大火災を起こして大変な損失を蒙(こうむ)ったのである。(中略)まことに“ふと思いつく”ということで大抵、人の日常生活は行なわれ、その人自身の運命を決定しつつあるのである」。(『続 真理の吟唱』、p.193-194)
私たちの日常生活は、限りない数の選択の連続によって進んでいくが、不思議なことに、私たちは普段、そのことをあまり意識していない。そして往々にして、1日の終りに「変化のない単調な日だった」などという感想を抱くのである。そんな時、私たちは“単調な日”という何か一定した客観的なものを、外から与えられたような印象を受けているのだが、本当は、限りない数の選択を「無意識に任せて行っている」に過ぎない。(後略)
先ほど申し上げたように、1日大体6万回ぐらい、色々と考えているのですが、その95%が、前日も前々日も考えたこと、つまり無意識に思っているというわけです。
その無意識に思っている思いが、マイナスのことであるのが、失敗に結びつくわけですから、1日の終わりに、その日起こったこと、これまでだったら「なんて嫌な思いをしたのだ」「今日も失敗したなあ」と、そう思う出来事であったとしても、その奧にある光明面を見て、それを記しておくということが大切なのです。
例えば、道を歩いていたら、カラスの糞がポトッと落ちてきた。「ついてないなあ」と普通は思いますね。人によっては、「運がついた」となるわけですが。(笑)
そこで「いやあ、頭じゃなくて良かった」「これで良くなる」「益々良くなる」と書く、その結論の言葉が、ピシッと潜在意識の中に入っていくのです。
とにかく、「想念を明るいものにする」「口癖を改める」、その口癖を改めるに、どうぞ『日時計日記』を書く習慣をつけて、明るい面を観る訓練をされるとよろしいと思います(拍手)。時間が参りましたのでこれで終ります。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。