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繁栄ストーリー

毎朝の祈りが私の研究の原動力(後編)

筑波大学名誉教授  村上 和雄

村上和雄

誰が遺伝子暗号を書いたのか?

実は、私の話はこれからが本番で、ここから皆様に一番聞いてほしいことを話します。

私共が解読する以前から既に存在していた遺伝子暗号は、一体誰が書いたのでしょう? 人間ではないですね。人間が人間の遺伝子暗号を書けるわけがない。両親が書けるのであれば、もっとましな遺伝子暗号を書くはずでしょう(笑)。結局誰が書いたのか解らないのです。

遺伝子暗号は、まるで設計図のように実に精緻にできています。だから偶然にできあがるわけはない。まさに人知を超えた力の働きがあったとしか考えられないのです。

この遺伝子暗号は、どれくらいの科学の文字で書かれているか知っている方は手を挙げてください。

生長の家の皆様は奥ゆかしいから、知っていても手をあげない方が多い(笑)。

どれくらいかというと、約32億の科学の文字なのです。32億と言うとピンと来ませんが、1000頁の本があるとして、その1頁ずつに1000文字書いてある。いうなれば大百科事典です。それがなんと3200冊分もあるのです。

そして、それはどこにあるかと言うと、細胞の中の核というところに全部入っている。

私たちの細胞は、全部で60兆あると言われています。自分の60兆の細胞の一つ一つに、全部遺伝子暗号が書いてある。髪の毛の細胞にも、心臓の細胞にも、その全部に遺伝子暗号は書かれているのです。

しかし、不思議なことに、心臓は心臓に必要な遺伝子しかスイッチが入っていないのです。他の臓器で働く遺伝子は、スイッチがオフになっています。

だから遺伝子は、見事に自分の場所をわきまえている。しかもいつ働くのかも充分理解している。

こんな素晴らしい遺伝子暗号が、なんと1グラムの2000億分の1の重さしかない細胞の核の中に入っているのです。

また、遺伝子の大きさは、全世界の60億全員の遺伝子を集めても、なんとお米一粒の中に全部入るぐらいの小さなものなのです。アンビリーバブルですね。

この人知を超えた不思議な働きを、私は“サムシング・グレート”と呼んでいます。わからないからサムシング(なにものか)と呼んだわけです。

サムシング・グレートの定義

私がアメリカで時々この話をしますと、「サムシング・グレートと神様はどう違うのですか?」と質問をされるのです。

そんな難しいことは聞いてくれるなと言っているのですが(笑)、私はサムシング・グレートを定義する必要に迫られたのです。そこで私が考えた定義はこうです。

私たちには親がいます。その親にはまた親がいる。子供は親なしには生まれません。それをズーッと生命の元まで遡って行きますと、人間のような素晴らしい調和の取れた存在が、何の思いもなく、設計図もなく、偶然が重なって生まれてきたとは到底思えない。

だから私の“サムシング・グレート”の定義はとても簡単で、“全ての生きものの親のようなもの”です。親と言い切りますと、「どんな親か?」と聞かれたら困りますので、親のようなものと表現しました。

つまり全ての生命、あるいは宇宙までも生み出した、大いなる存在を、“サムシング・グレート”と定義しています。

なぜ英語で定義したかと言いますと、外国の人達にも解ってほしいと思ったからです。また、私の『生命の暗号』という本は、世界16ヵ国で翻訳されていますので、イスラームの人達にも“サムシング・グレート”に接して貰えると思うと嬉しくなります。

そして日本でも、「神も仏もあるものか」と思っているような人達に是非解ってほしい。自分の中にある素晴らしい生命、力に目覚めてほしいと願っているのです。

さて、この間、私は素晴らしい話を聞きました。ノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊先生が、その賞金のほぼ全額を寄付されて、子供たちに科学の楽しさと面白さを伝えたいという思いで財団を作られました。

しかし、どうしても資金が足りない。そこで、国民一人当たり1円出していただけば毎年1億円は集まると考えて、一人1円募金を始められたのです。けれども中々集まらない。学者の計算は甘いですね。(笑)

この小柴先生は、カミオカンデというニュートリノを掴まえる大実験装置を山の中に持っておられます。 そのカミオカンデを両陛下がご視察にお越しになられた際に、財団の厳しい現状を話された。すると直ぐに宮内庁から、両陛下のご寄付が届けられたそうです。開けて見ると2円入っていた(笑)。しかしその裏に10万円の包みが2つ入っていて、「10万年分の寄付をさせていただきます」と書いてあったのだそうです。

10万年ですよ。日本の遠い将来のことまでもお考えになっていらっしゃる。本当にすごいですね。(拍手)

現代は、余りに短いスケールで物事を考えすぎていると思います。私たちは目に見えるものや、目の前のことしか考えなくなっています。お金や成績など、測定できるものに価値を置いて、一喜一憂しています。だから生き生きと生きることができないのではないでしょうか。

考えてみますと、大切なものほど目に見えないのですね。愛情や生命、心、みな目には見えません。

私は、目に見えるものと目に見えないものの価値のバランスが狂い始めると、国の衰亡にまでつながることになると思うのです。そういう点で日本は、とても大事な時期にさしかかっていると思います。

遺伝子は助け合っている

今から申し上げることは、是非覚えて帰ってください。

今から50年程前に、生物学上の大発見がありました。それは、現在地球上に生きている生物で、名前がついているものだけでも180万種、おそらく全部で2000万種ほどあるだろうと言われています。そして、38億年前に生まれた生物、その99.9パーセントは死に絶えましたが、とにかくこれまでに生まれてきたすべての生物が、全て同じ遺伝子暗号を使っていたことが解ったのです。

だから大腸菌は、人の遺伝子暗号を解読して人のホルモンをつくることができる。すごいことですね。

けれども私共は、それらのコピーは作れても、細胞一つ元からつくることはできない。材料をいくら集めてみても、そこから生命は生まれてこないのです。

「生物はなぜ生きているのか?」という根本的な問題について、私共はまだ手も足も出ない状態なのです。だから人間が生きていることは、ただごとではないのです。

私たちの細胞はものすごい速さで入れ替わっています。「お変わりございませんか」どころか、毎日入れ替わっている。

また、約300種類ほどあるといわれている細胞は、互いに助け合わなければ臓器は働らかなくなり、人は死んでしまうことになる。

ということは、他を助ける利他的な遺伝子が、細胞のどこかにある。仏陀のおっしゃった慈悲の心、キリストが説かれた愛、また聖徳太子が1100年前におっしゃった和の心、そういう宗教的天才が掴まれた真理が、科学の言葉で説明できるようになる。それは21世紀中に見つかります。エキサイティングなことですね。

そして人の喜びを見て喜び、人の悲しみを見て悲しむ遺伝子、そのような脳細胞があることが、最近発見されました。ミラー(鏡)ニューロン(神経細胞)というものです。そのようなことが、今、ものすごい勢いで解り始めているのです。

細胞一つつくれない私たちが、「子供をつくる」などというのは傲慢ですね。受精卵をつくるところまではちょっとぐらいは協力しますが。

その1個の受精卵から、38週かけて、38億年の地球上の生物の進化を再現しながら、赤ちゃんは生まれてくるのです。だからお母さんの1週は、胎児にとって1億年であり、お母さんの一日は胎児にとって1428万年にあたります。だからお母さんが1日酔っぱらっていたら、赤ちゃんは1428万年酔っぱらうことになる。

そういうことを知ると、お母さんの精神状態や日常生活がとても大切だということを、理解していただけると思います。

ともかく私たちは、一人一人が大変尊い存在です。だから人と比較するのではなく、自分だけがもっている生命の花を精一杯咲かせることが大切だということです。(拍手)

平成17年4月25日、JR福知山線の脱線事故で、107名もの方が亡くなりました。あの時に、108人目になる予定の人がいらっしゃったのです。

病院に運ばれた時は、呼吸は停止し、脳の中がぐちゃぐちゃになっていて、医者から「もう駄目です。あきらめてください」と言われた鈴木順子さんという娘さんです。

お母さんのもも子さんは、娘はまだ死んでいないと必死になって看護をされました。そのような時に、「愛は遺伝子を活性化します」と話している私のラジオ放送を聞かれたらしく、「勇気づけられました」と電話がかかって来ました。それで私は、もも子さんに本を贈り励ましたのです。

もも子さんは、集中治療室の意識のない順子さんの耳元で、毎日「順ちゃん、順ちゃん、奇蹟を起こそうよ」と言い続けられました。すると本当に奇蹟が起こり、順子さんは意識を取り戻されたのです。(拍手)

医者もビックリして、「このようなことは絶対にあり得ない」と言ったそうです。私はこの話を聞いて、改めて親の愛情の深さ、思いの深さに胸を打たれました(拍手)。そして、眠っている遺伝子がオンになれば、このような奇蹟が起こることを目の当たりにして、“サムシング・グレート”の偉大な働きに、改めて感動いたしました。

それから順子さんは、リハビリに励まれて日毎に元気になり、水泳を始められ、出来ればロンドンのパラリンピックに出たいと言うまでになられました(拍手)。その時は、私は応援団長で行きますよ。

順子さんは、まさに自分で金メダルを掴もうとしているわけです。これほどの大惨事に遭って、医者から完全に匙を投げられた人が、そういう夢を持つまでになられた。

また事故に遭ったことでアトピーが消えてしまった。だからアトピーで苦しんでいる人の役に立てればとおっしゃっています。

順子さんは、「生きているだけで奇蹟や」と言われます。私共が50年もかかって解ったことが、この方は事故で一挙に解られた。

私は順子さんと出会うことで、私たちの心の思いは、信じられないような力を持っているということを、心の底から実感させていただいたのです。(拍手)

日本の文化が世界を救う

今、地球温暖化が大きな問題になっています。東大の山本良一教授によれば、この20年間が勝負だといわれます。そうでないと、ポイント・オブ・ノー・リターン、元へ戻れなくなるのだと。

由々しきことですが、実は私は日本の文化が、温暖化を救う鍵になるのではないかと思っているのです。

私は一昨年、ブラジルに行きました時に、日系移民の方々のご苦労を詳しく知りました。戦争が起きて、日本へ帰れなくなった時、彼らは子供たちの教育に力を注ぎました。

その甲斐あって、人口比では日系人は1パーセントにも満たないのに、サンパウロ大学という南米一の大学に進学している人数は、全体の15パーセントに上るのだそうです。そして卒業生達は各界で大変な活躍をしていて、現地の方々の信頼も厚い。しかも皆、心から親に感謝している。だから現地では、「ビバ・ジャパン」、「日本を見習おう」と言われているそうです。また、アメリカでも日系人の評判は、とても良い。

日本には寺子屋という教育制度がありました。読み書きソロバンの他に道徳教育をしていましたから、立派な人間が育ったのでしょう。

世界の600のメディアが協力して、「今世界で最もよい影響を与えている国はどこか?」という世論調査を28カ国で行っていますが、日本は必ず1位か2位に入っています。

なぜかというと、この60年間日本は戦争をしていない。その他、安全面や、世界一の医療や高い教育水準、科学技術の素晴らしさ、他を思いやる民族性などが挙げられていますが、世界における日本のナンバーワンは50以上あるのです。(拍手)

ところが残念なことに、日本では、「自分は駄目だ」と思っている高校生が、なんと66パーセントもいる。因みにアメリカは21.2パーセント、中国は10パーセントしかいない。

これは私たち大人が夢や理想を語っていない。日本の素晴らしさを、子供たちに伝えていないからなのですね。何とかしなければならないと思います。

世界では、日本の文化が注目されています。それは、「ありがとう」「いただきます」「もったいない」「おかげさま」という、私達の祖先が長年築いてきた生活文化が、人や生物や物を慈しみ、労り、大切にする素晴らしい文化であるということが、知られるようになってきたからなのです。

特に、アフリカで環境保全の活動をし、ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが、「MOTTAINAI」という言葉を世界に広めましたね。物のいのちを大切にしようと。「おかげさま」や「もったいない」は外国語に訳しにくい。だから「MOTTAINAI」は、そのまま世界語になりました。

日本には昔から、「誰が見ていなくてもお天道様が見ている」という高い道徳律がありました。

だから明治の終わりから昭和の始めにかけて日本を訪れた外国人は、「日本人は貧しいけれども、高貴だ」と言って日本人を讃えています。財布を落としても手元に届けられることに驚いています。

地球は46億年前から存在していますが、人類が誕生したのは20万年前、46億年を1年に例えれば、人間の誕生は12月31日の午後11時36分ぐらいです。

それなのに、地球に断りなく資源を乱暴に大量に取り扱っている。それが温暖化を引き起こしました。このままでいくと、人類は第6の生物絶滅期を迎えることになります

だから省エネの技術も世界一といわれる私たち日本人が、まず、「ありがとう」「いただきます」「もったいない」「おかげさま」の精神で生きて、世界に範を示し、その輪を広げていって、世界の人々の生き方を変えて行けたらと思います。(拍手)

これからも生長の家の皆様と一緒になって、努力して行きたいと思っております。

長時間にわたり、話をお聞きくださいまして、ありがとうございました。(拍手)

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