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繁栄ストーリー

愛による教育の再生(前編)

NICインターナショナル・カレッジ・イン・ジャパン代表  廣田 和子

廣田 和子

生長の家にお招きいただき、ワクワクしながらやってまいりました。よろしくお願いいたします。(拍手)

私は、NICインターナショナル・カレッジ・イン・ジャパンの代表を務めておりまして、神谷光德名誉会長には大変お世話になっております。

学校を始めて今年で23年になり、これまでに8000人以上の卒業生を送り出しました。

今日は私の様々な体験、離婚をして娘と2人で暮し、その娘を事故で亡くすという悲しい出来事もあり、女性として大概のことを経験してまいりましたので、それと私の目指している教育などを話させていただき、皆さまと思いを共有できたらと思っております。

アメリカに憧れて18歳で留学

私は醤油の町としてお馴染みの千葉県野田市の出身です。中学生の頃に放映された、アメリカのテレビドラマ「名犬ラッシー」が大好きで、ドラマで観るアメリカの豊かな生活や、大自然に憧れていました。

それと同時に、「兼高かおる世界の旅」も大好きで、世界に憧れながらよく観ておりました。

これが英語に興味を持ち始めた動機でしたが、英語を本気になって学ぼうと私を決定づけたのは、中学2年生のある日、町で担任の英語の先生が、その頃では本当に見かけるのも珍しい外国の方と英語で会話している光景を見て、大変ショックを受けてからです。それまではテキストを見て、読んで書いて覚えるのが英語だと思っていたのですが、先生が話しているのを見て、「英語を話せるようになりたい」と思うようになり、それから一所懸命英語を勉強し、本格的な英語力をつけるため、留学を目指すようになったのです。

そして、留学のための受験をしました。結果は何百人も受験したなかから、男女2名ずつの4名が合格となり、私は5番目でした。

これも運命と思っていましたら、なんと女子学生が1人行けなくなり、私が繰り上げ合格となって、留学のチケットを手にしたのです。運命というのは不思議ですよね。

何でもそうですが、最初は「憧れ」から始まると思います。本当に嬉しくて、羽田空港まで来てくれた全校生徒に見送られながら、日本を飛び立ちました。

クリティカル・シンキングを学ぶ

私が留学したミズーリ州オザークス大学は、1クラス20人から30人の少人数で、日本人はクラスに私1人でした。

日本で言えば国語にあたる授業の時です。先生に「この文学の一節を読んだか?」と聞かれ、皆一斉に「イエス」と答えました。

すると先生がつかつかと私の所にやって来て、「Kazuko What do you think?(どう思う?)」と聞かれるのです。私は凍りつき、何も答えられませんでした。読み書きの英語しかやっていなかったので、自分の考えを述べることなどできませんでした。

アメリカに行って最初に驚いたのは、このように直ぐに質問をされるということでした。

「What do you think?」と聞かれて自分の考えを述べても、それで安心はできません。答えを言うと、「Why?(何故そう思うのか?)」と直ぐに聞かれます。他の学生が答えた時も、「あなたは?」と聞かれますから、居眠りやよそ見などできません。「自分が何を考えているか」ということを、常に考えていないといけない。

それまでの英語の勉強といえば読み書きをしながら覚え、テストの成績も良かったのですけれども、考えながら勉強するということはありませんでした。「私は今まで何も考えていなかったのだ」ということに気づきました。

これがアメリカのクリティカル・シンキング(Critical Thinking)という勉学のスタイルで、ものごとを鵜呑みにせず、自分の頭でキチンと考えるということでした。

学びつつ常に考えるという、日本にはない教育で、これがアメリカでの勉学の基本だったのです。もちろん本を読み、真剣に勉強しますが、それだけでは駄目で、学んだものを消化させ、引きだす教育なのですね。

考えるカードを沢山持つこと

例えば歴史の授業でも、事実の記憶だけではなく、「ナポレオンは独裁主義者か、解放主義者か?」と聞かれます。考えて答えを出しますが、同じ答えでも、中味はみんな違います。どんな問題でも皆考えが違う。これがクリティカル・シンキングの中味なのです。

「Why?(その理由は何か?)」と追求されますから、必ず理由付け(reasoning)をします。「I have three reasons(理由は3つあります)」と必ず言うのです。理由があるのかないのか分かりませんが。(笑)

だから欧米人と仕事をしていて話す時は、「I have three reasons」と必ず先に言ってから、考えながら理由を言います。カードを一杯持つことが大切です。1つだとそれで終ってしまいますから。

これは人と会う時も、交渉する時も、ビジネスでも絶対に必要です。必ず3つのカードを持つこと。そうすることで自分の考えの幅が広がるので、reasoningということをやります。

クリティカル・シンキングでは、「Why?」と聞かれると嘘を言えない。自分をさらけ出していくことになります。だから、日本人には馴染みにくいかもしれません。

航空会社勤務を経てNIC代表へ

卒業後はアメリカで青少年のカウンセリング業務に携わった後、帰国して航空会社に勤務しました。そこでビジネスについて教わり、マネージメントを体験しながら、アジアや欧米など色々なところを旅行して見聞を広めました。

そのような日々を送るなか、私の心の底には、アメリカの子供たちが自然の中で自由に生き生きと生活している姿がありました。一緒に生活しながら見てきましたので、青少年の教育に携わりたいという希望をもっていたのです。

それで、青少年の国際教育の機関を探したのですが、どこにも私が目指す教育を行っている機関がなかったので、それなら自分で作ろうと思い、1988年にネバダ州立大学の日本校を設立しまして、NICの前身をつくりました。

日本人の子供たちに国際教育をしようということで、プログラムも何もないところから始めたのですけれども、23年経った現在、お陰様で8000人以上の学生がここから巣立っていきました。(拍手)

NICでは、1年間日本で英語を中心に学びます。英語で話すこともできなかった学生たちが、ネイティブ(その土地の人。原住の人々という意味)といって、アメリカ人やイギリス人と同等のレベルの英語力をもつようになって、卒業後、海外のあらゆる所へと旅立っていきます。

そして、心理学や芸術、環境、宇宙工学、看護師などあらゆる分野で活躍しているのです。

世界で堂々と活躍できる日本人に

このような仕事をやっておりますと、「廣田さんは、欧米に偏っているのではないの」と言われる方がありますが、決してそうではありません。

何故私がこの学校を始めたかと言いますと、欧米人に勝てる日本人を育てたかったからです。日本の子供たちはどんどん弱くなっていっているでしょう。それを何とか魂を入れて、世界に飛び立つ子供たちを育てたいという思いで23年間やって来たのです。(拍手)

お陰様で学生たちは、そのスピリットを持って海外へ出て、「日本のために頑張りたい」と皆言ってくれます。

学生たちにとって海外へ出るということは、アメリカナイズされることではなくて、逆に日本の良さが理解でき、「日本人として私たちは何を為すべきか」ということを、自然と体感して行くことになるのです。

仕事は人で繋がる

ネバダ州立大学から始まったNICですが、その後、イギリス、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパなどの国々とコネクションができました。

2000年のある日、イギリス人と会食する機会がありました。その時に、「今まで訪問した中で、アジアではどこが好きか?」と聞かれますので、私はタイやインドだと答えました。

すると「その中でもどこが良かった?」と問われるので、私は「タジマハールです」と答えました。するとWhy?と質問するので、「それを答えるためには、私の人生を語らなければなりませんが、初めてお会いしたあなたにお話してもよろしいですか?」と尋ねますと、「勿論」と言われました。

それで、「実は1回目はインドが大好きな娘と一緒に行き、特別感動しなかったけれども、2回目は娘が18歳で交通事故で亡くなり、娘がインドのどこに惹かれたのか、娘を偲びながら行ったら、タジマハールの前に立った時に、体がブルブル震えて、号泣し、立ちすくんだ。そこに娘がいるのだと感じ、ここは宇宙と繋がっている場所かもしれないと思った」と言いましたら、彼は、娘さんを亡くしてお気の毒なのにと、このような質問をしてごめんなさいという意味で、「I am sorry」と言いました。

それが縁で、1回で昔からの知り合いという感じになりました。そして、翌年からイギリス人との仕事が始まったのです。

ですから仕事は、何で繋がるかと言うとやはり人なのですね。名前などではなくて、「この人と仕事がしたい!」と、人に惚れるかどうか。自分と同じ哲学を持っている人かどうか。そういうものを大切にしています。

お陰様でイギリスとの交流も10年経ちました。(拍手)

10年間親と話さない子の心を開く

Why?というたった一言が、人と本当に知り合う言葉の鍵になるのです。英語は「I(私は)」と言わなければならないので、「皆と同じです」と逃げられません。

だから自分の中にあるものを人に伝えて行くことになります。NICに来る学生は、常にWhy?と言われていますから、始め何も話さなかった子でも、次第に自分の思いを英語でちゃんと話すようになります。

よく聞いてみると、単に家族や親が、聞いてあげなかったからというのが多いのですね。否定せずにただ聴いてあげれば、自分の中にしまっていたものがどんどん飛びだして来るのです。

大体私のところに来る学生は何かある子が多く、“変人君”や“落ちこぼれ”と言われる子もきます。でも皆死ぬほど勉強して、1年経つとネイティブになり、素晴らしくなって巣立っていきます。

今年入った子の中に、親と10年間話していないと言う子がいてびっくりしました。同居しているのですが、何か親と心の行き違いがあって、以来会話をしていない。「ここへ来たのも親に内緒で、自分で新聞配達をしてお金を作って来た」というので、色々と話をして、親とも連絡をとりましたら、父親が喜んで協力してくれることになりました。

「何でも聴くよ、何でも話していいよ」と言うと「嬉しい」と言うのです。この子はもの凄く変わりました。

否定せずに何でも聴いてあげることで、人は自分の思いを話しながら変っていきます。夢を語れば、「できっこない」ではなくて、「いいね。頑張れよ」と皆言います。だって皆、夢を実現したいと思っているのですから、否定しないで聞いてあげることはとても大切なことです。聞く時は、尊敬して聞くという態度が必要です。

このように共に歩むことを大切にしていますので、学生たちは本当にいろいろなことを話してくれます。ですから相手の目を見て語り、聴くことが大切です。NICでも、アイコンタクトをやりますし、授業中に目を伏せている学生には、スタッフが注意をします。

日本の文化を言葉で伝えよう

日本人は余り自分の考えを話さないと言われます。普段からやってないので話せないというのが1つと、日本の文化というものが、武道や茶道、華道など、言葉で表現するのではなく、自分を無にして体で覚える文化だということもあると思います。言葉を超えた、魂の文化というものですから、欧米の文化と反対のところにあるということです。

私はお茶をやっていますが、お茶には「守破離(しゅ・は・り)」という言葉があります。「守」はまねること。まず自分を無にしてひたすらまねる。Why?などと言うと怒られます。(笑)

まねができたら次は「破」で、そこに自分の個性を入れる。そして、最後が「離」です。そこからも離れて自由になるというのが日本の文化なので、日本の文化と欧米の文化は全く違うということです。

欧米は本当に言葉、言葉で解明していく文化なのでそこが違う。

このように日本の文化は美しく、言葉以上のものを持っている。けれども言葉で説明をしないと、全然理解はしてくれません。ですから、話すこと、伝えることはとても大切ですし、両方しないといけないと思います。

私は2001年から2005年まで日本人で初めてTOEFL(トーフル・世界の英語検定試験)の理事に選ばれましたが、世界151ヵ国中、スピーキング、英語で話す学力は、日本はなんと151番で最下位なのです。びっくりでしょう。ベトナム、タイ、中国、韓国、皆日本より上です。皆話せるのです。でも日本人は話せないのです。

それくらい、世界の平均から見たら、日本人は話せない人種になっているのです。

アジアの国々の子供たちはもの凄く頑張っています。本当に死ぬほど勉強して、どんどん世界に出て学び、国に帰って、国を守っています。それに比べて日本はもう本当に気力がなくなっています。

このままでは世界から日本は忘れられてしまいます。だから本当に変えていかないと、これからの時代、日本はどこに行くのかということになってしまいます。それくらい緩んでしまっているのです。

だから本当に、教育は大変なのです。しかも緊急なのです。本当にすごい文化を持っている魂はどこに行ったのかということです。日本の魂が。

そのために、NICでは、入学したら死ぬほど勉強してもらいます。死ぬほど勉強しても死にませんから(笑)。生涯でこれほど勉強したことはないというほど、皆勉強します。そして自分の可能性に目覚め、1年でネイティブと言われるほどの力をつけて飛び立って行くのです。
(次回へ続く)

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