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繁栄ストーリー

愛による教育の再生(後編)

NICインターナショナル・カレッジ・イン・ジャパン代表  廣田 和子

廣田 和子

「気」の勉強を通して心を強くする

私は今、「気」の勉強をしています。本校のOBで現在はNICの職員でもある25歳のスタッフに就いて学んでいるのですが、多くのことを得ています。

何故、「気」の勉強を始めたのかと言いますと、心を強くするためです。心が強くなると、人は困難から逃げなくなり、何に対しても積極的に立ち向かうことができるようになります。また、「集中力」が増し、「姿勢」も良くなってきます。

江戸時代にアメリカに渡った日本人は、体は小さくとも、姿勢が良く、堂々としていたので、アメリカ人は畏敬の念を抱いたといいます。

日本の武道でも茶道でも、まず姿勢から入りますね。姿勢は、姿に勢いと書きますが、姿勢が整うと、心が落ち着き、所作が流れるように美しくなります(拍手)。美しいものは人の心を癒してくれます。

日本の文化を学ぶことの大切さ

日本では食事の時に、正座をしてお箸とお茶碗を持つ、これだけで姿勢が良くなります。そのように気をつけてみると、私達の日常の所作のいたるところに、素晴らしい「美」がたくさんあることがわかります。

だから、日本文化のDNAをしっかりと学んで海外に行きますと、身も心もしゃんとして外国の人達に負けません。それは海外の人達の目にも、「日本人は侮れないものを、持っているな」と解るからです。

そのようにして、日本の素晴らしさをどんどん表現していくことが大切だと思います。

私も25人のアメリカ人を相手にお茶を立てたことがあります。25人分は一遍に立てられませんから、午前と午後に分かれてお越しいただいて、日本のお茶を味わっていただくことにいたしました。

その茶会の前日に、ある大学の副学長から、「明日は何か注意することはあるか?」と尋ねられましたので、「明日は大変ですよ。You cannot talk、(話すことができませんよ)」と答えましたら、びっくりされました。

そして当日、茶会を始める前に、「One at Universe、(茶会を通して宇宙と一体、すべてと一体)になるので、私語は絶対に慎んでください」と申し上げましたら、皆さんものすごく緊張をされていました。しかし、それが新鮮な感動だったようです。茶会が終わった後、「Great、(これは凄い)」と、日本の茶道の素晴らしさを体感された様子でした。

それで部屋の外に出たら、皆さん、もう話すわ、話すわ(笑)。ズーッと話していらっしゃいました。

このように沈黙の時間を過ごす経験が、外国の方はあまりありません。この機会に日本の文化の素晴らしさの一端を、伝えることができたのではないかと思っています。(拍手)

一心不乱になれば何でもできる

私は「一心不乱」という言葉がすごく好きです。「心を一つにして乱れず」と書きます。集中力の素晴らしさを表していると思います。

私のお茶の先生はとても厳しい方ですが、私が一心不乱になってお茶を立てていますと、先生がそこにいらっしゃることも、先生の厳しい眼も忘れて一心に取り組むことができます。

またある時、気の先生が真剣、つまり刀ですが、その真剣を持ってこられて、「これを振ってください」と言われ、びっくりしました。真剣ですから一心不乱に心を集中して振らないと怪我をします。文字通り真剣でした。

振った後に刀を鞘に納めるのですが、怖がっていると刀が入らないのです。「刀と仲良くしてください」と言われて、刀と一体になるような気持ちで心を込めてやると、恐怖心が取れて上手くできたのです。

真剣を持ってみないと本当の怖さは解らないものです。その時に、日頃「真剣に生きている」と言うけれども、本当に真剣に生きてきただろうかと思ったのです。

私達の人生にはリハーサルはありません。いつも本番のみだと思って、真剣に且つ一心不乱に取り組むことで、素晴らしい力が発揮できるのではないかと思いました。

年齢を超えて自分の夢に生きる

さて、学ぶということには年齢は関係ありません。NICでも16歳から73歳の人達が学んでいます。主婦も来ていますし、30代、40代の会社員の人も、「先生、退路を断って来ましたので、よろしくお願いします」とやって来られます。いずれも、自分の人生を変えたいという強い願望があって来られるわけです。

人生は何度でもいろいろなことにチャレンジしてもよいと思います。去年は医師や看護師も来ました。そして当校で死ぬほど勉強し、世界の大学に入ってさらに学び、その後は獣医学、海洋生物学、野生生物学、薬剤師、教員、パイロット、弁護士、ホテルマン、セラピスト、心理学者、建築士、映画監督、アーティスト、映像ディレクター、ファッションデザイナーなど、あらゆる分野で活躍しています。

学べば幾らでもチャンスはあるのです。海外の大学に行くだけではなく、自分の地域の中で活躍している73歳の方もいます。

顕著な例としては、60歳でNICに入学して来た“きよ子”さんという方がいらっしゃいます。この人は高校の国語の先生で、進路指導の先生でもありました。NICを知ってぜひ入学したいと思われて、先生をしながら英会話を2年間学んで、退職後に入学して来られたのです。彼女は、アメリカに渡って、演劇の勉強がしたかったのだそうです。

しかし英語力がなかなか向上せず、成績は一番下でした。みんなで協力して面倒を見ましたが、それでも覚えては忘れ、覚えては忘れの繰り返しで、ご本人は「10倍速で忘れていました」(笑)とおっしゃっていました。それでも卒業後には、何とかアメリカの短期大学に入学することができました。

その後、4年制の大学に編入され、62歳の時に一度お会いしましたら、「私は今62歳。覚えては忘れ、覚えては忘れの毎日ですが、でも私の人生、今が最高!」と嬉しそうに叫ばれました。素晴らしいなあと思いました。

そして昨年の9月にお会いしたら、「先生、私は今70歳です。あれから10年経って、今、英語が自由に話せます」とおっしゃるのです。あの“きよ子”さんがですよ。考えられないでしょう。

NICの時もそうでしたが、アメリカでも一番前に座って勉強をしたそうです。素晴らしいですね。

さらに驚いたことに、演劇を勉強する中で、東洋医学に興味を持ち、「東洋医学に変更して、今、博士号を取るところまで行き始めました」とおっしゃるのです。彼女の夢は素晴らしくて、「私死ぬまでに、東洋医学と普通のドクターの医学免許を両方取ります。そして『国境なき医師団』に入る」とおっしゃるのです。

こういう人は18歳の目をしています。キラキラしていて、60も70も80も年齢に関係なく、皆18歳の美しい目を持っています。私は娘を18歳で亡くしました。その後18歳の目をした人達をズーッと見ていますけれども、本当に素晴らしいと思います。

あるいはフリーターをしていた青年が入学して来て、オールAを取り、アメリカに留学していますが、その父親が、「次は私の番です。私にも夢があるんです。これから30年、その夢を追いかけます」とおっしゃるのです。今、60歳です。でもやはり目は18歳なのですね。それくらい、自分の夢を叶えようと、皆さん輝いているのです。

自分のやりたいことがあれば、いつからでもスタートできますし、今は人生が長くなっていますから、「自分は本当は何をやりたかったのだろう」と思い返してみることもよいかも知れません。

先ほどの“きよ子”さんは、「ここまで来たのは自分の力だけじゃない、皆が助けてくれたお陰です。一所懸命やって、夢が向こうからやって来てくれたのです」と言われました。そして「後30年は生きますからね。勿体無くて死ねません」とおっしゃっています。本当にいつからでも夢は叶えられますし、何歳であろうとスタートできるのですね。

セレンディピティについて

英語でSerendipityという言葉があります。ノーベル賞の受賞者などがよく「セレンディピティに出会った」と言いますが、美しい言葉だと思います。

これはどなたの人生にも起こることだと思います。「予期せぬ良いことが重なって起こる」という意味です。皆さんもありませんか? 予期しないことがどんどん起こって、えっと思っていたら、こんなに良いことになっていたという経験が、おそらくあると思います。

私も、人生の中でセレンディピティが何度もありましたが、これは自分が何か目的を持って本気で行動している時に起こるものです。

NICを始める切っ掛けになったのも、やはりセレンディピティが起こったからでした。25年前に、まだ日本人もいない頃、ネバダ州のリノという田舎町にある空港の中を、子供達をぞろぞろ連れて歩いていたら、肩を叩かれて、「What are you doing?(あなた何やってるの)」と尋ねられました。「実は子供達を連れて、エルコという町で教育プログラムをやっているのよ」と答えたら、その人がリノとスパースの観光ディレクターで、「何かあったら是非僕に言って来てください」と言って名刺をくれたのです。

その後、日本に帰国してからしばらくして、教育プログラムを広げようと考えていた時に、その観光ディレクターのことを思い出したのです。

そこで彼に頼んでふさわしい方を紹介してもらおうと、当時はEメールもFAXもなかったので、手紙を書いてお願いしました。

すると彼から、「こういう方がいらっしゃるから会いにきてください」という返事がきたので、すぐに会いに行ったのです。

そうしたら、トントン拍子で話が決まったのです。ところがいよいよ動き始めるという矢先に、先方から一方的に提携をキャンセルされてしまったのです。

「どうしよう、彼にまた連絡して相談しなければ」と思いながら、ホテルで食事をしていましたら、何とそのホテルで「世界フェア」をやっていてネバダも出ていたのです。フェアは観光局がやっているので、ひょっとしたら彼が来ているかも知れないと思い、ホテルに確認したら、「来られていましたが、もうチェックアウトされています」と言われたのです。

一緒にいた人が、「廣田さん、もう駄目だよ」と言うのですが、そこが私の良い所で、「いやいや、そんなことない」って、館内放送を頼んだら、何と彼が電話に出てくれたのです。空港へ出発する直前でした。「こんな状況で助けてほしい」と頼んだら会ってくれて、帰国後にネバダ州立大学のニール氏を紹介してくれました。

それでニール氏にお会いして私の今までの人生や教育の夢を話しましたら、彼は、「that is Serendipity」と言うのです。意味を聞くと、「良いことが一杯起こって、何かが繋がる」ということでした。この出会いが今のNICの基になったのです。(拍手)

だから途中で何があろうと諦めないことです。諦めずに頑張っていくと、Serendipityが必ず起こります。ノーベル賞受賞者も失敗と思われることを通して何かを発見したりしています。

本気で魔法を信じること

以前文化放送で、評論家の竹村健一さんと対談をしました。その時竹村さんから、「あなたの話を聴いていると、魔法に掛かったみたいで、本当に何かできる気がして来たよ」と言われたので、「竹村さん、そうなのです。魔法に掛かるためには、必ずできるという魔法を信じることです。疑っては駄目ですよ」と言ったのです。

NICに来る学生は皆、必ずできると純粋に信じて死ぬほど勉強します。どうせ無理だと思ったら何も起こらない。信じるって大事だと思うのですね。そうすると何でもできるようになるのです。

村上和雄先生ともよくお会いしますけれども、村上先生は、60兆の遺伝子のうち、私達が使っているのはほんの少しだけでほとんどの遺伝子はオフになっているとおっしゃっていますね。だから私達は、遺伝子を使って使って、少しずつでも遺伝子のスイッチをオンにしていくことが大切だと思うのです。

何かを1万時間やれば、一流になれると言います。一心不乱に1万時間やれば、その道で自信を持ってやれる人になれます。1万時間と言えば何年も掛かりますが、当校の学生達は1年間で2000時間勉強します。日本の大学生が年間40時間しか勉強しないと言われるのにです。さらに大学で4年間、毎年2000時間勉強しますから、一流の人になれて各界で活躍できるのです。

全ては偶然を装った必然

最後に、私は娘を18歳の時に事故で亡くし、来る日も来る日も泣き明かして過ごしました。

しばらくして落ち着きを取り戻した時に決意をしたのは、私の使命は18歳の目をした人達を見続けることだということでした。

娘は、「人生で起こることに偶然はなく、全てが必然でしかない。そしてそれは生きていく上で絶対に必要なことで、どんなに悲しく、虚しく、また無意味に思えることでも、そのひとつひとつが、自分の心の中で大きな支えになる時が、いつか必ずやってくる」という言葉を遺しました。

全ては偶然を装った必然なのですね。英語で言うと、「It’s meant to be、(全ては意味がある)」ということです。

これからも皆様とともに成長して、世のため人のために、共に頑張って参りたいと思います。(拍手)

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