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    神が創造された地球生命圏を守るため吾ら何を為すべきか ?

繁栄ストーリー

『七宝の塔』300号突破記念企画

神が創造された地球生命圏を守るため吾ら何を為すべきか
-山本良一東京大学名誉教授、神谷光徳名誉会長、中村全博会長に聞く-

神谷光徳
山本良一
中村全博

 

生長の家栄える会と 山本名誉教授との出会い

――本日は、ご多用の中をお集まりいただきましたことに、心より感謝御礼申し上げます。ありがとうございます。
      早速ですが、先ず神谷名誉会長に伺います。山本良一名誉教授と生長の家栄える会との出会いは、平成18年1月14日の神奈川教区栄える会の月例会に、山本名誉教授を招聘なさったことから始まっています。招聘された動機をお話しください。

◎神谷 先ず、日夜、国際的に活躍されてご多用のところを、本日は貴重な時間をつくってくださいました山本名誉教授に心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

山本名誉教授を神奈川教区栄える会の月例会にお呼びしたきっかけは、総裁・谷口雅宣先生のご著書『足元から平和を』を拝読しまして、その51頁から54頁にかけて山本名誉教授が責任編集された『一秒の世界』のことが紹介されていたからです。一秒間に二酸化炭素が体育館32棟分排出されている、また化石燃料を大量に使うことにより、一秒で762トンの二酸化炭素が排出され、このうちの384トンが吸収されずに蓄積され続けることで、大気中の二酸化炭素濃度が上昇し、地球温暖化の最大の原因になっているなど具体的に書かれており、この内容を読んだ瞬間に、ぜひ、この先生をお呼びしたいと思いまして、何の“つて”もないままに、祈るような気持ちで東京大学の研究室にお電話を差し上げ、菓子折を持って図々しくも飛び込みでお訪ねしたのです。そして、ぜひ、生長の家神奈川教区栄える会でご指導をいただきたいとお願いを申し上げたのです。誠に身の程知らずで、申し訳ありませんでした(笑)。

――その後、平成19年7月に、生長の家宇治別格本山で開催された「栄える会全国幹部研修会」に山本名誉教授がご出講されています。その時に講演を聞かれた中村会長の感想をお話しください。

◎中村 あの頃のことを正直に申し上げますと、何故、宗教団体が環境問題に取り組まなければならないのかと疑問を持っており、もっと個々人の悟りを運動の中心にすべきだと、栄える会の中央委員会などで発言し反発していたのです。

そのような時に神谷名誉会長より、『財界』誌に掲載された山本名誉教授の「このままでは地球は危ない」という主旨の論文を紹介されまして、それまで地球温暖化問題は100年先のことだと高を括っていましたが、このままの状態で推移すると、あと20年先には地球の平均温度が2℃上昇し、ポイント・オブ・ノーリターン、後に引き返すことができない深刻な状況を迎えることになるということを知らされたのです。

地球環境はそんな大変な状況にあるのか、これは個人の悟り云々とか言っている余裕はないと本当に驚きまして、それからアル・ゴア元米副大統領が書いた『不都合な真実』などを読んだりしながら、この危機を回避するためにはどうしたらよいのだろうと真剣に考えるようになったのです。

だから宇治で開催された「全国幹部研修会」に山本名誉教授がお越しになると聞き参加しました。そして山本名誉教授がご講演の中で次々と紹介される地球環境の危機的な画像を見まして、これは本気になって地球環境問題に取り組まなければならないと決意をしたのです。

――山本名誉教授には、ブロック毎の「生長の家繁栄ゼミナール」や各教区で開催する「教区繁栄ゼミナール」で、日本各地にご出講いただいています。
    そのような中、昨年の6月26日に神奈川県教化部で開催された「教区繁栄ゼミナール」にご出講いただいた際に、泉英樹教化部長(当時)から総裁先生のご著書『今こそ自然から学ぼう』を贈呈され、その翌日に神谷名誉会長へ連絡をされて読了後の感動をお話しになられたと伺っています。総裁先生のご著書にどのような感動を覚えられたのか、お話しいただけますでしょうか。

◎山本 私は今までの20年間、何をやってきたかというと、あらゆる製品や材料を真剣に環境に配慮したものに変えなければいけないと、いわゆるエコ・デザインという環境に配慮したものづくりに努めてきたのです。一方、そのエコ製品が社会に普及しないと問題の解決にならないので、そのエコ製品を優先的に購入するグリーン購入運動を進めてきたのです。それら全体のことを環境マネジメントとか環境経営というのですが、そのことを20年間、ずっとやり続けてきました。

しかし、環境に配慮したものづくりをするにしても、環境に配慮された製品を購入するにしても、それは単に環境とか経済とか製品の品質の話だけではなく、自分の倫理観、あるいは宗教観、哲学の表明になる。最近のアメリカで有名なジョークですけれども、「神様はどんな車に乗っている」という質問があって、当然答えは「ハイブリッドカーだ」というのがあります(笑)。とにかく私はものづくりにしても製品を購入するにしても、それがその人の倫理観の表明である、宗教的信念の告白であると考えていたわけです。ところがそのことを、生長の家の総裁先生は、既に9年前(編注:『今こそ自然から学ぼう』の初版発行は2002年10月15日)に明確に書かれている。そのことに驚き、感動したのです。

――政府や経済界、または宗教界でも地球温暖化への対策が遅々と進まない中で、生長の家が地球環境保全活動に真剣に取り組んでいることを知られた際の印象を語っていただきたいと思います。また、世界の宗教界における地球環境保全活動をご紹介いただきたくお願いいたします。

◎山本 実は、宗教界、哲学界の関係者は随分努力をされてはいるのです。いろいろな書籍も出版されています。もちろん科学技術や世界経済に対する批判が多いのですが。それだけではなく、いろいろな国際会議の度に声明文も発表されています。このように様々な取り組みが行われている。しかし、それが実際に国際政治を動かし産業経済を動かすには不十分だと私は考えているのです。

2009年に『残された時間』という本を出して、そこに我々は具体的にどうすればいいのかということで、グリーン・ニューディールという緑の公共事業を政府が積極的に取り組むことによって雇用を生み出し産業を育成しながら、グリーンなエコノミーに変革していくという様々な戦略を紹介しています。同時に、これは経営者がリーダーシップを取らないといけない、まさに中村会長達の出番なのです。経営者が環境へ配慮する眼(まなこ)を持ち、環境経営を断行して環境産業を振興しないと成り立たない。

そこでこの本には、日本の有名な環境先進企業のトップがどういう発言をされているか、具体的にどういう取り組みをしているのかを紹介しているのです。その中に宗教団体では生長の家だけが、私から見て環境先進企業のトップと同じような意識を持って取り組まれている。総裁先生は、環境経営に宗教法人の社会的責任として取り組んでいるとおっしゃっている。しかも具体的に取り組まれているということで、異例ではありましたが、宗教法人生長の家のトップである総裁先生の具体的な取り組みを紹介したのです。

ただ、よくよく調べてみると、海外においてもそういう動きがあったのです。一つは中国の例です。私はこの28年間に70回中国へ行き、52箇所の主なお寺を訪問しています。そこで中国の環境省の方に、「日本では生長の家という宗教法人があって、環境マネジメントに全力で取り組んでいる」という自慢をしたら、「わが中国も既にやっています」と言うのです。一つは寧波(にんぽう)という港のそばにある普陀山という島でお寺が百ぐらいある佛教の一大聖地があります。そこが全体としてISO14001の環境管理の認証を受けている。もう一つは北京の雍和(ようわ)官というラマ寺ですけれども、ここもISOの認証を受けている。そして黄山(こうざん)、ここも佛教聖地ですが、こちらもISOの認証を取得して、具体的には燃料を天然ガスに切り替えてCO2の削減をするとか、3Rの取り組みを実行しているのです。最近では道教のお寺がソーラーパネルを積極的に設置している。そういう動きがあることを中国の環境省の方が紹介してくれたのです。

それからイギリスの国教会、そのトップはカンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズですが、そこが2050年までに、CO2の8割削減を言っている。イギリス国教会全体で取り組んでいるのです。

ところでローワン・ウィリアムズ大主教は何と言っているかというと、「温室効果ガスの削減に全力を挙げて取り組むのだけれども、結局、経済の仕組みを変えない限り成功は難しい」と言っている。つまり温室効果ガスの削減に取り組み、ソーラーパネルを導入するなどの再生可能エネルギーを使用する人が経済的に報われるような社会制度にしない限り駄目だと言っているのです。

実は生長の家の総裁先生も、社会のシステムを変えていかない限り問題の解決は難しいと、この『今こそ自然から学ぼう』にそう書いていらっしゃるのです。

地球温暖化の厳しい現況

――地球温暖化の厳しい現況と今後の進捗をお教えください。

◎山本 私は神谷名誉会長にすごく感謝しています。神谷名誉会長の飛び込み訪問がなければ、私は生長の家と出会うことがなかっただろうと思うからです。

さて私の宗教界に対する意見をひとこと言わせていただきますと、20世紀までの宗教と21世紀の宗教は、根本的に変わってもらわなければ困ると思っています。これまでの宗教というのは、一人一人の人間が生まれてから死ぬまでに様々な悩み苦しみがある、そこで悟りを開くとか悩み苦しんでいる人達を救済するということが主な使命であったと思います。それを私の講演ではマザー・テレサを例に出して、「目の前の苦しんでいる人を救うこと」が宗教の使命であると紹介しています。ところが21世紀は、それにプラスアルファが必要である。地球全体を救う、生命圏全体を救う、人類の高度な知的生命体によるこの地球文明を救う。これをやっていただかなくてはならない。それを私の講演では、ガイア理論を説くジェームス・ラブロック博士の意見として紹介しているのです。

これは一般信者、個々人には解りにくいし、今まで700万年間はなかった問題です。ところが21世紀に入って、地球の危機に直面して全宗教指導者というか全宗教者は、それに目覚めなければならないと言っているのです。

一日に約400種類の生物種が絶滅に追い込まれている。あと50年くらいで、100万くらいの生物種が環境破壊と地球温暖化で絶滅するだろうと言われている。これは非常に大変な事態なのです。さらにこのままの状態で地球温暖化が推移すると産業革命以前と比較して世界の平均気温が2℃上昇するのが20年以内に迫ってくる。あと50年後には4℃上昇する可能性もある。4℃になったら何が起こるかというと、アメリカと中国が同時に干魃になる。オーストラリアの農業は崩壊してしまう。アフリカの農業も崩壊してしまう。ということは食料と水が欠乏する。結局10億人ぐらいしか生き延びられないと言われている。そうすると2050年に世界人口は93億人、2100年に101億人になるといわれていますが、101億から10億を引くと91億人が2060年から2100年の40年間で死亡する、計算すると毎週約430万人くらいずつ死んでいくということになるのです。今、既に他の生物種は一日に約400種類絶滅している。今世紀の後半になると我々人類もその後を追って食料と水の不足によって一週間に430万人くらいが死んでいくと。砂漠が拡大し、海水面が上がってくるから陸地の住めるところが減ってくるので大量の難民が発生する。その難民が国境を越えて移動することで戦争が起こる、これを気候戦争と言っています。

したがって哲学界、宗教界の人達は、この地球の危機に真正面から取り組んでいただかなければならないないと思うのです。もはや宗教も哲学も科学もないのです。全員でこの問題に向き合わなければならないのです。

――中村会長には、山本先生のご講演を聞かれた後、宮脇昭横浜国立大学名誉教授のビデオをご覧になり、地球温暖化を防止するため、“北海道”千年の森プロジェクトを立ち上げられました。その時の思いと現在までの取り組みをお話しください。

◎中村 先程申しましたとおり地球の現状に非常なショックを受けまして、何かやらねばならないと思ったのです。そのような時に中央委員会で宮脇昭名誉教授の植林活動のビデオを見せてもらい、「ドングリ一個からできる。お前達は何をしているのだ」という言葉を聞きまして植樹をやると宣言したのです。しかし具体的にどうやっていいのか全く解りませんでした。それで小樽に帰って仲間の二人に、地球の危機と植樹をやりたいという思いを語りましたら、その二人が燃え上がりまして、あっという間に仲間が増え、“北海道”千年の森プロジェクトを立ち上げることになったのです。

その後仲間達から、「宮脇先生を呼べないですか」という声が上がりましたので、神谷名誉会長を通して依頼し、2007年5月25日に小樽へ来ていただきました。そして200名の前で講演をしていただきましたら、講演後に私の隣に来られて「中村さん、皆さんの前で植樹をやると宣言しなさい」と言われるのです。「どうやってやったらいいのですか」と聞いても、「いいからやると宣言しなさい」とおっしゃいますので(笑)、「今年、必ずやります」と宣言したのです(笑)。それから宮脇名誉教授にスケジュールを確認していただきましたら8月26日が空いているということでしたので、その日に「第1回植樹祭」を開催しました。その後、今日までに8回の植樹祭を行い、のべ4,000名の方々に参加していただき、約20,000本の植樹をいたしました。

先程山本名誉教授がおっしゃいましたが、私達も「心が変われば環境も変わる」と教えられていますので、社会が変わるような活動をやらなければならないと強く思っています。

――中村会長が“北海道”千年の森プロジェクトを立ち上げられてから、それに続いて大阪教区で“命の輝き共生の森”の植樹活動が始まるなど、大きな動きが出てきました。
    さらに今年度は、それに加えて栄える会の運動のポイントに、「教区栄える会の会員は、経営あるいは勤務する事業所のCSR(企業の社会的責任)として、(1)ISO14001の国際認証、またはこれに準ずるエコマネジメントシステムの取得、(2)太陽光発電装置や風力発電装置の設置、(3)電気自動車の購入、(4)LED照明など新たな省エネ技術の導入等の取り組みを検討し、可能なことから積極的に実施する」と謳われております。
    また、今年度の「栄える会教区会頭研修会」では、とりわけエコマネジメントシステムの導入についての研修がおこなわれましたが、今後、栄える会として、これらの運動に取り組まれる抱負などをお話しください。

◎中村 昨日、坂本龍馬に関する本を読みました。彼は何故一人で日本を動かせたのか、それは100年後の日本の姿を明確に描き、その計画のもとに実行したからだと感じました。まず我々の意識改革が必要だと思います。

自然界も日本も人類も全部自分であるという自他一体の自覚をしっかりと持ち、そのような世界を築くという明確な目標を持てば、今まで自分でも気がつかなかった潜在能力を発揮できると思います。考えられないようなアイデアがどんどん出てくると思います。そういうところまで我々の意識を高めていった時に、運動のポイントに掲げられているようなCSRに具体的に取り組む企業が、栄える会会員の中から陸続と出てくると思います。

◎神谷 中村会長がおっしゃったように、人と自然との自他一体の精神をもって、例えば具体的には運動のポイントに掲げられている「ISO14001の国際認証、またはこれに準ずるエコマネジメントシステムの取得」については、先ずは比較的取得しやすいエコアクション21を取得する企業を何企業作るという具体的な目標を、ブロック毎に設定してどんどん取得していく。そして、次にそれらの企業がISO14001の国際認証取得に挑戦していく。そのように平成23年度下半期以降の栄える会の活動は、重点を絞り込み流れを作ることが大切だと思います。

また、山本名誉教授とこのような素晴らしいご縁をいただいたのですから、名誉教授が取り組んでおられるエコ・デザインを社会に普及するグリーン購入ネットワークとも歩調を合わせながら、環境経営に真剣に取り組む企業を栄える会会員の中から生み出しつつ、産業界に具体的な方向性を示すことも大切だろうと思います。

とにかく栄える会はもっと宗教心に目覚めて産業界を光明化していく。生長の家の環境方針にも謳われているように、環境問題は宗教心がなければ解決できませんよ。そのような自覚を持って、総裁先生の御心に添いながら、もっともっと大きな、ダイナミックな活動を展開すべきだと思っているのです。

◎山本 中村会長、神谷名誉会長のお話を聞きながら思い出したのが、ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーの著書『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』に書いてある、「プロテスタンティズムの倫理が資本主義を生み出した」という言葉です。

生長の家について言えば、新しいエコ神学でグリーン・エコノミーを創りだすということになると思うのです。

かつてはプロテスタンティズムの倫理が資本主義を創り出した。現代は生長の家の万教帰一の教義に基づいたエコ神学が新しいグリーン・エコノミーとかグリーン成長を創り出す。だから生長の家栄える会は、“エコ神学から新しいグリーン・エコノミー、グリーン成長を生み出す信徒集団”になっていただきたいと願っているのです。

地球温暖化防止のために宗教が果たすべき役割

――11月12日に東洋大学で開催された『第2回宗教・研究者エコイニシアティブ』の開会のご挨拶で、「エコ文明のための宗教間パートナーシップが2010年に開始された」とお話しになられ、「哲学・宗教は学派・宗派を超えて倫理パネル(IEPEC)を設立して、科学パネルと連携すべきである」という問題提起をされました。ここに至るまでの経緯をお話いただき、生長の家栄える会はこの動きをどう捉えるべきなのか、ご意見をいただきたくお願いいたします。

◎山本 先ずお断りしておきますが、私の専門は科学技術であり、哲学・宗教は専門ではありません。なぜ科学技術、産業経済だけでは、グローバルな環境問題の解決に到らないのか。それは、私たちがエコ文明への宗教的改心ができていないからではないか。科学技術や経済への欲望が強くて倫理面がまだまだ弱い。だから科学技術文明を否定するのではなく、この未熟な文明を私たちの倫理観を高めて変えないといけないという考えに到ったのです。

工業文明を否定するのではなく、工業文明を徹底的に内部から変えてエコ文明に転換する。これは現代の私たちに与えられている使命、ミッションであると思っているのです。そこで私は、哲学・宗教界に、大車輪の活躍をしていただきたいと熱願しているのです。

それで哲学界、宗教界に根本的に欠けているものは何かというと、持続可能性を社会にビルトインする構造なのです。要するに社会に向かって自分達の意見を言う場所がないのです。だから神道にしても仏教にしても、それからキリスト教にしても新興宗教にしても、それぞれでバラバラに意見表明をしているという状況なのです。これでは犬の遠吠えであって社会を動かすことはできない。これでは政治家も企業のリーダーも何の痛痒も感じない。如何なる声明文が出ようともそんなもの知ったこっちゃないというのが現実なのです。根本的に何かが欠けている。

国際政治は何で動いているかを考えていただきたいのです。国際政治の指導者は気候変動についてはIPCC、資源問題についてはIRP、生物多様性についてはIPBESと科学的なパネルからアドバイスを受けている、国連環境計画のもとに3つの科学者集団がある、それを科学パネルと言っている。では何故、倫理パネルはないのかということなのです。どうして哲学界や宗教界の人は、倫理パネルがないことを不思議にも思わないし、それを国際社会に要求もしないのかと、心底私は思うのです。哲学や宗教、倫理は専門知識ではないのか。

だから9月28日に上智大学の100周年記念のシンポジウム(Ecosophia Symposium)に招かれた際に、エコ文明のための倫理パネルの設立を呼びかけたのです。このシンポジウムはインターネットでも見ることができます。そうしましたら、私の倫理パネル設立の提案が、パネル討論の座長の一人である哲学者のハーマン・グリーン先生(『The Great Work』という著作を書いたアメリカのトーマス・ベリー神父の後継者)に衝撃を与えたらしく、「これ位やらないと駄目だ」と強く同意してくださったのです。彼は2日後にアメリカへ帰国しますが、その2日間に賛同のメールを3通私に送ってきました。そして彼はアメリカに帰って、(彼自身が2010年にニューヨークで開催した“エコ文明のための宗教間パートナーシップ”の参加者で、そこに66名の宗教界の代表者が参加している、日本からはただ一人、金光教の三宅善信先生が参加したらしいのですが、その)宗教間パートナーシップに倫理パネルを反映させてはどうかと考えたらしいのです。

そしてハーマン・グリーン先生は、偶然にも10月17日にニューヨークで開催された“Interfaith Visionaries in Action:Rio+20 Conference”に招待されたので、そこで倫理パネルを設立せよという講演をしたら、賛同の声が燎原の火の如く広がったというのです。

何故かと言えば、今、何が足りないかを、皆考えてきている。温暖化の問題、資源の問題、そして生物多様性の問題も、全部倫理問題だからです。エネルギーの選択だって倫理の問題でしょう。原子力をこの地震列島で使用するかは倫理問題ですよ、20万人にも及ぶ福島県民の人生を破壊しているわけだから。今こそ、きちんと持続可能性の倫理側面を扱う国連機関が必要だと考えているのです。

また、ハーマン・グリーン先生は、10月31日にワシントンの議会図書館で開催された議員とNGOとの会議においても倫理パネルを紹介し、多くのNGOから支持を受けると共に、アメリカのUSアース・チャーターの会長であるリチャード・クラグストン氏や、地球ウォッチの理事長も全面協力してくれることになったという報告をくれました。このような推移の中から、リオのサミットへ提案する提案文書の中に倫理パネルの設立の提案が入ることになったのです。

それで、これからロビー活動をやるのですが、そのロビー活動をどうやるかという戦略会議がこの12月14日にニューヨークで開催され、翌15日にはリオサミットの準備会合が開催される。そういう動きになっている。だから倫理パネル設立要求は世界に燎原の火の如く広がっているのです。

私は、今から二年前の2009年6月に、高野山の真言座主と比叡山の天台座主が800年ぶりに歴史的和解をしたというニュースが流れた時に、そのような内向きの話ではなく、二人で新幹線に乗って上京し、総理に地球環境問題をきちんと進めるよう申し上げるべきではないかと思いました。神谷名誉会長は、私のこの思いに共鳴してくれまして、東洋大学の竹村牧男学長と私との会合の場を設けてくれました。その会合の席で竹村先生が「高野山真言宗の松長有慶座主を知っていますので、私が紹介します」とおっしゃってくださったのです。

実は一昨日、竹村先生の紹介で松長有慶座主にお会いできたのです。高野山と比叡山が連携して国内の倫理パネル設立賛同をおっしゃっていただければ素晴らしいと思っているのです。国内でも倫理パネルの設立をする、国際的には国際的な倫理パネルを創って、3つの科学パネルと連携して、国際社会にどんどん意見を発信していく。そのためには、宗教宗派を超えて、哲学界、宗教界のあらゆる智慧を結集して、国際社会をリードしていかなければいけない。

ではいろいろな宗教で共通部分はあるのかということになる。私はすべてで一致することはありえないと思っています。ジョン・ヒックが宗教多元主義といっているように、超越的存在に対する地域における適応として各地に宗教が生まれてきているのだから宗教にも多様性があると思うからです。しかし出口王仁三郎先生や庭野日敬先生の言うごとく万教同根である。谷口雅春先生は、さらに一歩を進めて万教帰一とおしゃっている。私の理解するところでは、谷口先生の万教帰一というのは、神の愛、仏の慈悲というのは、(神や仏は我々生命を慈しんでくださっているはずだ、だから愛や慈悲は)万教帰一であると先生が喝破されたのだと思っています。

10年ほど前に国連環境計画は「地球と信仰」という本を出版し、各宗教には環境保全の知恵が共通しているとしています。最近はイエズス会の神学者ウィルフレッド神父が「諸宗教によるエコロジーの神学」ということを書いている。私は、地球生命圏を持続可能にする保全するというのは万教帰一である、エコロジカル・サステナビリティは万教帰一だと考えているのです。そして、それを“エコ神学”と言っているのです。総裁先生も『“森の中”へ行く』に書いておられる。「万教帰一」は生長の家の大切な教義でしょう。その万教帰一の中に、神の愛や仏の慈悲は人だけでなく、地球生命圏を保全するということも含まれていることを総裁先生はおっしゃっている。

生長の家に万教帰一のエコ神学をベースにして国際倫理パネルの場でどんどん発言をしていただく、そうして世界全体を動かすという大戦略を行っていただきたいのです。

◎神谷 総裁先生には、そのような世界の舞台にぜひ立っていただきたいと、切に願っているのです。

◎山本 12月のリオサミットの準備会合、そして6月のリオサミットまでに世界の宗教界の識者からのいろいろな意見が結集すると思いますので、ゼロカーボン運動で最も実績のある生長の家にもそれに入っていただけたらと思うのです。

“森の中のオフィス”への移転と今後の栄える会の活動について

――最後に、平成24年度までに東京・原宿にある国際本部(一部または全部)を山梨県北杜市の八ヶ岳南麓に移転する“森の中のオフィス”構想が着々と動き出しています。その意義の確認と生長の家栄える会としての決意を中村会長、神谷名誉会長から語っていただきたいと思います。

◎中村 産業革命から始まった物質的な発展が、地球環境問題をはじめ様々な問題を惹起しています。しかし別の視点から見ると、この発展はただ欲望の満足だけではなく、「皆に幸せになってもらいたい。豊かになってもらいたい」という善意の発露があることも事実であると思います。だから、そのような中で、先程来おっしゃっているような今の文明を全面否定するのではなく、足りない部分を宗教界、哲学界が立ち上がって補い合い、今までにない倫理的な考え方を構築し、それを世の中に訴えていく。そういう霊的新時代に突入していくのだということを感じました。実際、3月11日の東日本大震災で、このままでは駄目だと皆が感じ始めていますから。だから国際本部が森の中に移転してそこで実際に生活をする。それはこの新時代のモデルというか先駆けというか大いなる意義があると思うのです。栄える会も国際本部の精神をしっかりと受け止めるとともに、100年先までのビジョンを明確に持って、先程、山本名誉教授がおっしゃった、“エコ神学から新しいグリーン・エコノミー、グリーン成長を生み出す信徒集団”となるべく、これからの運動を展開していきたい、そう決意しているところです。

◎神谷 総裁先生はご著書『“森の中”へ行く』の中に、“大海に一石を投じる”という言葉をおっしゃっています。森の中への移転はその大海への一石だと拝しています。そしてその後に、皆で小石を投げたらやがて島になるともおっしゃっている。このことを私は、“一日も早く島を創りましょう”という総裁先生の私達に投じられたメッセージだと受け止めています。国際本部が森への移転した後、この精神を日本そして世界にどうやって発信するかということだと思っています。それを産業界に向かっておこなうのが栄える会の役割であり、その意味で私共が山本名誉教授と出会ったというのは、正に“神縁である”としか言いようがありません。先程中村会長が申し上げた“エコ神学から新しいグリーン・エコノミー、グリーン成長を生み出す信徒集団”となるべく、私達に与えられた役割をしっかりと務めていきたいと決意しています。

――本日は、山本名誉教授、そして神谷名誉会長、中村会長には、ご多用の中を、有意義な時間を作っていただき、心より感謝御礼申し上げます。

本日語っていただいたお言葉を、栄える会幹部・会員の皆様にお伝えして、これからの栄える会の活動を力強く推進して参りたいと思います。本日は、どうも有り難うございました。

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